書評

自分が分からなくなった時に読む本『私とは何か/平野啓一郎』

あなたは日々多くの人と接していく中で”本当の自分が分からなくなること”はありませんか?


仕事をしている自分、恋人と一緒にいる自分、学生時代の友達と話す自分


大人になればなるほど、自分が属するコミュニティーは多様化していきます。

会社、家庭、友人・・・。
友人には、大学の友人もいれば小さい頃からの幼なじみのような人もいます。

そうした中で、「いったいどの自分が本当の自分なんだ?」と疑問に思うことが誰しもあるはずです。

僕はずっとそんな疑問をもって生きて来ました。
会社にいる自分、家族といる自分、学生時代からの友人といる自分・・。

どの自分も自分であることには違いないのですが、その時の自分の口調・表情・態度は相手によって随分と違います。
だって、恋人とイチャついている時の態度と、両親の前にいる時の自分の態度は全く違うじゃないですか。

「そりゃそうだ、人間には色んな顔があるんだから」

と言われればそれまでなんですが、僕はなんとなくそれに”違和感”を持ち続けていました。

恋人の前にいる自分と、両親と話す時の自分、どっちが本当の自分なんだ?
もし恋人と一緒にいる時の自分が「本当の自分」だとしたら、両親といるときの自分は偽りの存在なのか。

「本当の自分って一体何なんだ?」

そんなぼんやりとした”違和感”を持ち続けていたある日。
本記事で紹介する『私とは何か/平野啓一郎』という本と出会いました。

この本には著者が提案する新たな個人の捉え方「分人(ぶんじん)」が登場します。

結論を言うと、僕はこの「分人」という考え方にめちゃくちゃ共感できたんです。
「そう!その通りだよ!」と、読みながら何度心の中で叫んだことか。

詳しくは本文でも解説しますが、
僕と同じようにこの「分人」という考え方がめちゃめちゃ腑に落ちる人は多くいるはず。長年の違和感がすーっと無くなるような。ずっと喉の奥に刺さっていた魚の骨が取れたような。そんな感覚です。

ということで本記事では、
私とは何か/平野啓一郎』について詳しく解説していきます。

「本当の自分が分からない」

「色々な人と接しすぎて自分が何なのか分からなくなった」

そんな悩みを抱えるあなたに、ぜひ勧めたい1冊です。

『私とは何か』はどんな本なの?

私とは何か』は芥川賞受賞作家・平野啓一郎氏の書籍。

「個人」よりも一回り小さな単位である「分人」を提案し、人間の基本単位を考え直します。

著者は本書において、たった一つの「本当の自分」など存在しないと主張します。
対人関係ごとに見せる複数の顔、そのすべて「本当の自分」であり「分人」だといいます。

<本当の自分>はひとつじゃない!と認めることで、人間関係に悩むすべての人に新たな考え方を提唱します。

『私とは何か』はどんな人にオススメなの?

この本は↓のような悩みを抱える人にオススメです。

①色々な人にいい顔をしてしまって本当の自分が分からない
②嫌いな自分を肯定したい
③「自分らしさ」が分からない
④他者との距離の取り方が分からない

『私とは何か』を読んだ感想

会社での自分、家族との自分、友人との自分、どの自分が「本当の自分」なのか?

僕が長年持ち続けてきたこの”違和感”が、著者の「分人」という考え方によって無くなりました。

なぜなら著者は、
たった一つの「本当の自分」など存在せず、対人関係ごとに見せる複数の顔すべてが「本当の自分」だと言ってくれているからです。

つまり、会社での自分、家族との自分、友人との自分、その全てが「本当の自分」だということですね。

↑こそが、著者の提案する「個人」よりも小さな単位「分人」

会社での自分、家族との自分、友人との自分、
そのすべてが「分人」であり「本当の自分」なんです。

一人の人間は、複数に「分けられる」存在である

「分人」についてもう少し詳しく書きますね。

一人の人間。
「個人」を分けて、その下のさらに小さな単位を考える。それが「分人」です。
「分人」には「分けられる」という意味が含まれています。

一人の人間の中には複数の「分人」が存在しています。

職場での分人、恋人との分人、両親との分人、友人との分人・・・。

なんとなくイメージがつきましたか?

つまり「あなた」という存在はこの「分人」の集合体なのです。

「分人」を認めると対人関係が楽になる

「分人」という概念を知ってから、人間関係が劇的に楽になりました。

なぜなら、色々な人に色々な仮面を被って接してきた自分を認めてあげられるからです。

「相手によって接し方が違ったり、態度が違ったりしていいんだよ」

そう言ってもらえたような気がして、心がフッと軽くなったんです。

家族といる時の自分も、友人といる時の自分も、恋人といる時の自分も自分には変わりありません(たとえ口調や態度が異なっても)

このように「本当の自分」が複数あることを認めることで、他者に対し”自分を偽っている”という罪悪感が無くなり、人間関係が楽になるんです。

まとめ

私とは何か』では、上記で紹介した「分人」の考え方を、人間関係の悩み、恋愛の悩み、子育ての悩みなど、わたしたちが生きていく中で直面する対人関係の様々な問題に応用していいます。

この本を読めばあなたが抱える”対人関係の悩み”が少し軽くなるかもしれません。

現に僕は「分人」という考え方に出会って、人間関係が楽になったのを実感しています。

悩めるあなたに是非とも読んでいただきた1冊でした。